神殺しのクロノスタシスⅣ
いや、まぁシルナは、頭の中までお砂糖たっぷりだから?

毎年ハロウィンの時期が近くなると、うきうきわくわくし始めるけども。

今年は学院創立以来、一番の盛大なハロウィンパーティを開く?

そんなの今日初めて聞いたぞ。

いつから、そんな計画を?

って言うか…。

「まずは、『ヘンゼルとグレーテル』から、全校生徒分のヴィクトリアサンドイッチを頼んで、それから美味しいクラフティもお取り寄せして〜」

夢がいっぱいだ。

しかし。

「ちょっと待ちなさい。何を言ってるんですこのボケ老人は」

イレースから、ストップが入った。

よく言った。

「何処からそんなお金が出てくるんです。『ヘンゼルとグレーテル』と言ったら、例の忌々しい菓子屋じゃないですか」

忌々しいって。

お店への風評被害が甚だしいが、悪いのはシルナの無駄遣いであって、『ヘンゼルとグレーテル』ではない。

すると。

「大丈夫だよイレースちゃん!」

「何が大丈夫なんですか」

「今回は、ちゃんと費用を用意してあるから」

一体何処からそんな豊かな財布が、と思ったら。

「ほら、これ」

シルナは、さっと一枚の書類を見せてきた。

「…何です、それは。私は見てませんよ」

学院に届く書類は、原則イレースを介して、シルナに届けられるはず。

しかし。

「あ、これ親展だったから」

あぁ、シルナ宛だったのか。

で、その書類の内容は…。

「魔導教育委員会が、うちを模範的魔導師養成校に認定して、奨励金をくれるんだって!」

と、はしゃぐシルナ。

送り主は、ルーデュニア聖王国魔導教育委員会。

書いてある内容を、軽く要約してみると…。

シルナの言った通り、「お宅の学校を、国内で特に水準の高い魔導師養成校として認めます。これからも日々、模範的魔導学院として頑張ってください。あ、これはそのご褒美みたいなものです」と書いてあって、奨励金を支給する旨が書いてあった。

結構良い額くれるんだな。

成程、ハロウィンパーティの資金源はこれか…。

「模範的な学校ってだけで、国がお金くれるんだね」

「へー。良い商売やってんだね〜」

おい。子供は見るなよ。

何普通に、自分達も教員ですみたいな顔して書類読んでんだ。

「つまり、臨時収入を得たってことだね!時期も丁度良いし、ハロウィンの為にパーッと使って…」

「全額、来年度の学院運営費の予算に回します」

「何で!?」

夢を語るシルナが、イレースの一言によって、一気に現実に叩きつけられた。

良い夢見れたか?
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