神殺しのクロノスタシスⅣ
…と、まぁ。

そんなこんなあって。

結局、魔導教育委員会からの奨励金は。

「各部屋への、殺虫スプレーと虫除けグッズ配布費用に使わせてもらうことになりました」

「…悲しい使い方だな…」

まさか、魔導教育委員会も、奨励金の使い道が虫除け対策グッズ購入だとは、思ってないだろうなぁ。

本当、生徒が何を求めているのかは、生徒目線じゃないと分からないっていうのは、事実だったな。

まさか、虫対策を求めていたとは。

まぁ良いよ。何だか、もっと他に使い道あっただろ!と思わなくもないけど。

結果敵に生徒の為になったんだし、これで生徒達の安眠を守れたんだと思えば。

そして。

「で、奨励金の残りについては…」

「ボーナスですか?」

「あなたを含め、我が学院には不埒者が多過ぎるので、あなたや、何処ぞの元暗殺者組に使う為に、電気椅子を購入することにしました」

エグい拷問具だ。

うちには、既にファラリスの雄牛があるというのに。

更に追加購入するのか。それは奨励金の使い道として正しいのか?

と、思ったが。

…下手に口を出して、イーニシュフェルト魔導学院の電気椅子犠牲者第一号になるのは、絶対に御免だったので。

黙っておくことにした。

「うぅ…。ハロウィンパーティ…。ヴィクトリアサンドイッチ…」

シルナが、しょんぼりと呟いていた。

今思えば、ハロウィンパーティの為にパーッと使っていた方が、まだマシだったかもしれない…。

が、時既に遅し、という奴である。

いずれにしても。

「いやはや、あぶく銭の使い道なんて、真面目に議論するもんじゃありませんね」

「…全くだよ…」

魔導教育委員会の人に、切実に言いたい。

今度からは、現物支給にしてくれ、と。
< 511 / 795 >

この作品をシェア

pagetop