神殺しのクロノスタシスⅣ
――――――…その頃、イーニシュフェルト魔導学院では。

「は…へ、くちゅんっ、くちゅんっ」

続けざまに、くしゃみが出た。

ズズッ、と鼻を啜る。

「何です。良い歳したおっさんが、無駄に可愛いくしゃみをするんじゃないですよ、気色悪い」

イレースちゃんが、物凄く辛辣。

酷くない?今の聞いた?ねぇ。酷くない?私くしゃみしただけなのに。

「誰か、私の噂してるのかなぁ…?あっ。二回だったから、誰かが私の悪口言ってる?」

嫌なんだけど。

「馬鹿馬鹿しい。そんなジンクス、嘘っぱちです。くしゃみはくしゃみです」

イレースちゃんは、バッサリと切り捨てた。

…夢がない…。

「くしゃみが二回…誰かが自分のことを呪ってるんだっけ?」

「それは三回でしょ。二回は、寿命が二年縮んだんだよ」

「あ、そうだった」

と、恐らくジャマ王国の「くしゃみジンクス」を話している、令月君とすぐり君。

…知りたくなかったなぁ、そんなジンクス…。

くしゃみ二回で、寿命が二年縮み。

くしゃみ三回で、誰かに呪いをかけられている。

「…すぐり君。くしゃみが四回出たら、どんな意味があるの?」

知りたくないけど、何となく気になったら、聞かずにいられなかった。

が、

「四は『死』だからね〜。もうすぐ死ぬって意味」

やっぱり、聞かなければ良かった。

くしゃみが四回出たら、身の回りに気をつけよう…。

って言うか、ジャマ王国の「くしゃみジンクス」、怖過ぎない…?

私、ルーデュニア人で良かった…。
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