神殺しのクロノスタシスⅣ
「羽久さん、気が楽って?」

問い返す天音。

「いや、だってこれ以上、聖魔騎士団に迷惑かけずに済むだろ?」

嫌だったんだよ。無関係な聖魔騎士団の仲間を、死の危険に晒すのは。

残る小人は二人。

一方、これまで小人の契約を結んだことがないのは、四人。

俺とシルナと、天音とナジュの四人だ。

一度に契約する人数が、一人なのか二人なのかは、小人の気まぐれ次第だが。

残る二人の小人が、それぞれ二人ずつ契約したとしても、イーニシュフェルト組の四人で、契約を結べる。

まぁ、小人が「お前と契約するのは嫌だ」とか、ふざけたことを言い出す可能性は…まだ残っているが。

そこは、無理矢理ごり押しするしかなかろう。

これ以上、無関係の人間は巻き込めないしな。

「な、シルナ」

俺は、シルナに同意を求めた。

…が。

「…」

シルナは、俺が声をかけたことにも気づかないようで。

ただ、じーっと棺桶の中の白雪姫を眺めていた。

…?

なんか最近のシルナ…。ああやって、ボーッとしてること多いよな。

何か、思うところでもあるのだろうか?

まぁ、故郷の魔法道具が、今になって猛威を振るってるんだから…。

シルナのことだし、また「自分の責任で…」とか、面倒臭いことを考えているのかもしれない。

全く世話の焼ける…。

「おい、シルナ…」

再度、声をかけようとした。

そのとき。

「…あっ!」

『白雪姫と七人の小人』の棺桶の中から。

ひょこっと、ピンクの服を着た小人が、顔を覗かせた。

…。

…出やがった。
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