神殺しのクロノスタシスⅣ
「…!羽久?」

「…」

何とか立ち上がろうとするのに、床に膝をついたまま、俺は立ち上がれなかった。

身体が痛いからとか、そういう理由じゃない。

意識が薄れるからだ。

あ、ヤバい。

これは、俺が…「入れ替わる」ときの兆候だ。

しかも、俺の意識をこんな風に、強制的に奪うことが出来るのは…ただ一人。

入れ替わるまいと、俺がいくら抵抗しても無意味だ。

だって、この身体は元々。

「前の」俺…二十音(はつね)・グラスフィアのものなのだから。

俺の意識が、ブツリと途切れると同時に。

二十音の意識が、表に出てくるのがはっきりと分かった。

それでも、身体の主導権を奪われた俺には、最早どうすることも出来なかった。














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