神殺しのクロノスタシスⅣ
―――――――…私は、もっと警戒すべきだった。

この危機的状況、おまけに、少しでも私が不利な状況に陥ったこのタイミングで。

羽久が、大人しく羽久のままであるはずがないと。







「羽久…!羽久!大丈夫!?」

羽久は膝を付き、ガックリと顔を落として意識を失ったようだった。

あんな巨大な魔力の塊を、二度も食らったのだから無理もない。

しかも、二度目は…私を庇って…!

「はつ…ね…!?」

羽久の傍に駆け寄ろうとして、そして気がついた。

羽久の気配が、その魔力が、変わっている。

これは…もしかして、羽久じゃなくなっ、

「…しーちゃん、の、敵」

顔を上げた羽久は、もう羽久ではなくなっていた。

鋭く光る眼光に、殺意が満ちていた。

「…二十音!!」

その名前を叫ぶと同時に、二十音が白雪姫に向かって飛んでいた。
< 678 / 795 >

この作品をシェア

pagetop