神殺しのクロノスタシスⅣ
生徒達と、もぐもぐフォンダンショコラを食べていると。

次々に、教師陣が学院長室に集まってきた。

「失礼しますよ、学院長」

「あ、イレースちゃんいらっしゃい!」

「…」

部屋に入ってきたイレースは、むっと立ち込めるほどのチョコレートの匂いに、顔をしかめた。

更に。

「あ、イレース先生だ」

「こんにちは〜」
 
「お邪魔してまーす」

三人娘が、フォーク片手にイレースに挨拶。

イレースは、フォンダンショコラにぱくつく三人を、じろりと睨んだ。

「あなた達…ちゃんと、宿題は終わってるんでしょうね?」

「はーい」

「そうですか…。まぁ、それなら良いでしょう」

溜め息混じりのイレースである。

本当ごめんな。

「それよりイレースちゃん!」

「それよりって何ですか。この書類、さっさと目を通してください」

「イレースちゃんにもあるんだよ、フォンダンショコラ!さぁさぁ、用意するからちょっと待っててね〜」

「私は要りません。話を聞きなさい」

「大丈夫大丈夫!飲み物はちゃ〜んとホットチョコレートだから!」

駄目だ。諦めろイレース。

頭の中までフォンダンショコラなシルナには、何を言っても聞こえていない。

「…はぁ…」

深々と溜め息をつくイレース。本当ごめん。

更に、そこに。

「はぁ…。大変だった…」

「まぁまぁ、あれくらい可愛いものじゃないですか〜」

天音と、ナジュが合流。

天音まで溜め息ついて。何だか疲れた様子だ。

ナジュの方は、相変わらずへらへらしてるけど。

「へらへらしてるとは人聞きの悪い。いつも笑顔で感じが良い、と言ってください」

隙あらば人の心を読む奴の、何処が感じが良いって?

「おっ、ナジュ君に天音君も!いらっしゃい!フォンダンショコラあげるね〜」

シルナは、にこにことフォンダンショコラを用意した。

これで、教師陣皆揃ったな。
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