神殺しのクロノスタシスⅣ
イレースのこめかみに、怒りの血管が浮き。

その、あまりの鬼気迫る殺気に、天音が肝を冷やして硬直し。

俺は、静かにイレースに言った。

「…イレース、やれ」

「分かりました」

イレースの杖が、バチッ、と雷を纏った。

「ちょ、待って!分からないで!お願いだから!ごめんなさいごめんなさい!」

シルナは、土下座と言う名の命乞いを始めた。

「げ、原本じゃないから!あれコピーだったから!ね?明日、また聖魔騎士団に行って、コピーもらってくるから!」

「聖魔騎士団が苦労して入手した、魔導師排斥運動の中枢に関する、大切な資料を…あなたの鼻水で汚し、あろうことか証拠隠滅に破棄…?」

「ご、ごめんなさいごめんなさい!許してくださいお願いします!電気ショックは嫌ぁぁぁ!お願いだから!」

「そんなに電気ショックが嫌なら、別の方法にしましょうか」

え?

「以前、何処ぞの読心魔法教師に使い損ねた、ファラリスの雄牛がまだ残ってますからね。新品で。記念すべき一人目の犠牲者は、この怠惰で愚かな汚物学院長ということで」

「嫌ぁぁぁぁぁ!グロい!助けてぇぇぇぇ!!」

シルナは、きゃんきゃん言って逃げ回っていたが。

今回ばかりは、俺も仲裁はしなかった。

焼かれてしまえ。この愚か者め。
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