神殺しのクロノスタシスⅣ
それはともかく、ナジュの発表である。

まさか、また「僕の夢は死ぬことです!」とか言うんじゃないだろうな?

「えー。僕の将来の夢はですねー、やっぱり死ぬことですかね!」

本当に言いやがった。

言うかなーと思ってたら、本当に言いやがった。

…が。

「っていうのは、まぁ冗談なんですけど」

…お前。

さては今、俺の心を読んでたな?

「あなた、真面目に発表しないなら、私の改革案を続けますよ」

ピキッ、と血管浮き立たせるイレースである。

おいやめろ。折角イレース案を棄却したところなのに。

「冗談ですって…。いや冗談ではないですけど。可愛いお戯れじゃないですか、これくらい」

「良いから、さっさと真面目に喋りなさい」

「はいはい、分かりました分かりましたよ」

そう言って、ナジュはごほん、と一つ咳払いをして。

「僕は将来…イーニシュフェルト魔導学院1の、イケメンカリスマ教師になります」

将来の夢、じゃなくて。

将来なります、って断言している。

どんだけ自信あるんだ。自分に。

「何せ僕は、このイーニシュフェルト魔導学院でも、屈指の美男子で」

自分で言うのかよ。

「しかも、生徒に教えるのが上手く」

それも自分で言うのか。

「料理も出来るし、おまけにお洒落」

自画自賛が半端じゃない。

「生徒思いですしね」

本当かよ?自分でそう思ってるだけなんじゃないの。

「ここまで条件が揃っていたら、もうイーニシュフェルト魔導学院1のイケメンカリスマ教師は、夢じゃないですよね」

何処から出てくるんだ。その自信は。

イレースを見てみろ。超どうでも良さそうな顔してる。

死ぬよりはマシだけど…。イケメンカリスマ教師(自称)ってのは、どうなんだ?

「ねぇ天音さん。僕なら出来ると思いません?」
 
天音を味方につけようとするな。

「え?あ、えーと…うん、頑張れば…なれるんじゃないかな…?」

天音も、そこは「無理じゃないかな」って、素直に言って良いんだぞ。

いや、あながち無理ではないのかもしれないけど…。

それを自分で言うなよ。
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