神殺しのクロノスタシスⅣ
シルナは、恍惚として夢を語る。
夢を語るシルナ。
「まずは、『ヘンゼルとグレーテル』から、ありったけ、全種類のお菓子を買い込んで…」
仕入れ業者か。
ちなみに、その費用を誰が負担するのかは、考えないことにしておく。
ほら、リアルな数字とか出したら、途端に冷めるだろ?
夢は夢でいた方が良いってこともあるんだ、世の中にはな。
「そしてそれをぜーんぶ並べて、あ、テーブルの中央には、おっきいチョコファウンテンを置くんだ!全校生徒が一度に楽しめるチョコフォンデュをやるの!」
最早噴水。
ならぬ、噴チョコ。
「でね、でね、それをしながら、皆の好きなお菓子を…」
「…さて、発表も終わったことですし、私はいつもの業務に戻ります」
「ちょ、イレースちゃん最後まで聞いてぇぇぇ!」
イレース、無慈悲。
これ以上シルナの夢の話など、聞く価値もないとばかりに、さっさと学院長室から退室。
血も涙もねぇ…。
更に。
「僕も、イケメンカリスマ教師の夢の為、稽古場で生徒に媚び売ってきまーす」
「ちょ、まだ!私の発表まだ終わってな…ナジュくぅぅぅん!!」
脱走者、その2。
で、残ったのは俺と、そして天音のみ。
儚いもんだな。
「…誰か私の夢を応援してください」
シルナは真顔だった。
「え、え、えぇと…はい。その…か、叶うと良いですね…」
天音は優しいので、頑張ってフォローを入れてくれていた。
良い奴だよ本当、お前って奴は。
「だよね!来年には叶うかな!?」
「ら、来年…!?は、む、無理なんじゃ…い、いや…な、何とかなりますかね…?」
無理しなくて良いんだぞ、天音。素直に言ってやってくれ。それは無理だと。
「よーし!来年は、皆でお菓子パーティーだ!きっと夢を叶えてみせる!頑張ろう!」
「は、はい…。あの…頑張ってください…」
良いことだな、夢があって。
五人分の夢を語って、今のところ実現可能なのは、天音の夢だけ。
実に儚い。
人の夢だからこそ、儚いんだろうが。
「…叶うと良いなぁ」
シルナの夢、天音の夢、ナジュの夢…。イレースの夢は、ちょっと置いておいて。
どの夢も、全ては俺の夢が…願望が叶わないことには始まらない。
ルーデュニア聖王国が、イーニシュフェルト魔導学院が、平和であること。
これが一番大切で、一番重要で…。
…そして、俺達にとって、一番実現不可能な夢だ。
夢を語るシルナ。
「まずは、『ヘンゼルとグレーテル』から、ありったけ、全種類のお菓子を買い込んで…」
仕入れ業者か。
ちなみに、その費用を誰が負担するのかは、考えないことにしておく。
ほら、リアルな数字とか出したら、途端に冷めるだろ?
夢は夢でいた方が良いってこともあるんだ、世の中にはな。
「そしてそれをぜーんぶ並べて、あ、テーブルの中央には、おっきいチョコファウンテンを置くんだ!全校生徒が一度に楽しめるチョコフォンデュをやるの!」
最早噴水。
ならぬ、噴チョコ。
「でね、でね、それをしながら、皆の好きなお菓子を…」
「…さて、発表も終わったことですし、私はいつもの業務に戻ります」
「ちょ、イレースちゃん最後まで聞いてぇぇぇ!」
イレース、無慈悲。
これ以上シルナの夢の話など、聞く価値もないとばかりに、さっさと学院長室から退室。
血も涙もねぇ…。
更に。
「僕も、イケメンカリスマ教師の夢の為、稽古場で生徒に媚び売ってきまーす」
「ちょ、まだ!私の発表まだ終わってな…ナジュくぅぅぅん!!」
脱走者、その2。
で、残ったのは俺と、そして天音のみ。
儚いもんだな。
「…誰か私の夢を応援してください」
シルナは真顔だった。
「え、え、えぇと…はい。その…か、叶うと良いですね…」
天音は優しいので、頑張ってフォローを入れてくれていた。
良い奴だよ本当、お前って奴は。
「だよね!来年には叶うかな!?」
「ら、来年…!?は、む、無理なんじゃ…い、いや…な、何とかなりますかね…?」
無理しなくて良いんだぞ、天音。素直に言ってやってくれ。それは無理だと。
「よーし!来年は、皆でお菓子パーティーだ!きっと夢を叶えてみせる!頑張ろう!」
「は、はい…。あの…頑張ってください…」
良いことだな、夢があって。
五人分の夢を語って、今のところ実現可能なのは、天音の夢だけ。
実に儚い。
人の夢だからこそ、儚いんだろうが。
「…叶うと良いなぁ」
シルナの夢、天音の夢、ナジュの夢…。イレースの夢は、ちょっと置いておいて。
どの夢も、全ては俺の夢が…願望が叶わないことには始まらない。
ルーデュニア聖王国が、イーニシュフェルト魔導学院が、平和であること。
これが一番大切で、一番重要で…。
…そして、俺達にとって、一番実現不可能な夢だ。