神殺しのクロノスタシスⅣ
…余談だが、その後。

下校時刻後、いつも通り(いつも通りにしないで欲しいのだが)、学院長室にやって来た、元暗殺者組の令月とすぐり。

この二人に、例の将来の夢小論文について聞いてみた。

「お前達、あの小論文、今日発表だったんじゃないのか?」

「うん、発表したよ」

…ふーん…。

「…ちなみに、お前らの夢って何なんだ?」

気になったので、聞いてみた。
 
答えたくないなら、無理に聞く気はないが。

かつては将来が暗かったこの二人が、今はどんな夢を抱いているのか…保護者として一応、知っておきたかった。

すると。

「うん。『八千歳』と一緒に、色々考えたんだけど…」

「やっぱり、目下の目標は、打倒学院長かなーって」

…ん?

…なんか、予想の斜め上の返事が来たぞ。

シルナの、ぼりぼりとチョコブラウニーを食べる手が止まっていた。

「これを達成したら、やり切った感じがするよね」

「そーそー。とりあえず来年までには、不意打ちで一本は取れるようになろう」

「え、ちょ、何の話?不意打ちって何!?」

元暗殺者の不意打ちって。想像するだけで、安心して暮らせねぇよ。

それで何でこの二人は、シルナ越えを果たそうとしてんの?

何を目指してんだ?

「卒業までには、絶対勝とうね、『八千歳』」

「勿論。俺達なららくしょーらくしょー」

「ちょ…何の話!?ねぇ何の話してるの!?ねぇぇぇっ!!」

シルナ…お前の老い先は、短そうだな。

精々、お前の為に祈っててやるよ。
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