神殺しのクロノスタシスⅣ
…ともかく。
狼狽する二人のルームメイト達には、
「大丈夫だから、二人はこちらで探すから、心配しないで、授業の準備をしなさい」と言って送り出した。
生徒に余計な心配をかける訳にはいかない。
一難去ったと思ったら、また一難だよ。
今度は、生徒の家出。
しかもよりにもよって、一番探すのが面倒な二人が。
これは緊急事態と見て、俺とシルナは、教師陣を学院長室に呼びつけた。
そこで皆に、「元暗殺者組が家出したらしい」と告げると。
「なんだ、そんなことですか…。放っとけば戻ってきますよ」
と、イレース。
「家出ですか。良いですね、青春の醍醐味じゃないですか!」
と、ナジュ。
意外と反応が薄かった。
お前らには、危機感というものがないのか?
一方、天音はと言うと。
「えっ…。だ、大丈夫なんですか?それ。ま、また『アメノミコト』に脅されたとか…」
そう。俺達としては、そういう反応を期待していた。
前二人は、もうちょっと心配してやれよ。
「分からない。ただ、このメモと謎のへのへのもへじ人形を置いて、行方を眩ませたらしい」
「そ、そんな…」
絶句する天音。
「やっぱり、また『アメノミコト』が二人に何か…」
「その可能性はあるが…」
俺とシルナも、まず第一にそれを考えた。
そして、そうだったら最悪だと思った。
あの忌々しい鬼頭夜陰(きとう よるかげ)が、しつこい油汚れのような執念で、二人に手を出そうとしている…。
もしそうなのだとしたら、俺達は今すぐ、二人の後を追わなければならない。
でも…。
「そんなに心配しなくても、大丈夫だと思いますけどねぇ」
と、ナジュが言った。
「そんな、楽観的な…」
「だって、本人達も言ってたじゃないですか。当分の間は、『アメノミコト』は手出ししてこないだろうって」
「それは…そうだけど…。でも、それはあくまで『そうかもしれない』であって、絶対とは言い切れないし…」
天音の言うことは、もっともだ。
しばらくは『アメノミコト』も大人しいだろう、と俺達に思わせておいて。
やっぱり追撃します、と方向転換しかねない。
何考えてるか分からないが、ろくなことしか考えてないのは確かだからな。『アメノミコト』は。
もしかしたら、また二人にしか分からない方法で接触を図り。
生徒の身柄を人質に、何処かに二人を呼び出して…ということも有り得る。
何かあっても、隠すのが上手いからな。二人共。
平気な振りしながら、また俺達に何の相談もせず、自分達で解決しようと突っ走っている可能性はある。
あの、馬鹿共…。
狼狽する二人のルームメイト達には、
「大丈夫だから、二人はこちらで探すから、心配しないで、授業の準備をしなさい」と言って送り出した。
生徒に余計な心配をかける訳にはいかない。
一難去ったと思ったら、また一難だよ。
今度は、生徒の家出。
しかもよりにもよって、一番探すのが面倒な二人が。
これは緊急事態と見て、俺とシルナは、教師陣を学院長室に呼びつけた。
そこで皆に、「元暗殺者組が家出したらしい」と告げると。
「なんだ、そんなことですか…。放っとけば戻ってきますよ」
と、イレース。
「家出ですか。良いですね、青春の醍醐味じゃないですか!」
と、ナジュ。
意外と反応が薄かった。
お前らには、危機感というものがないのか?
一方、天音はと言うと。
「えっ…。だ、大丈夫なんですか?それ。ま、また『アメノミコト』に脅されたとか…」
そう。俺達としては、そういう反応を期待していた。
前二人は、もうちょっと心配してやれよ。
「分からない。ただ、このメモと謎のへのへのもへじ人形を置いて、行方を眩ませたらしい」
「そ、そんな…」
絶句する天音。
「やっぱり、また『アメノミコト』が二人に何か…」
「その可能性はあるが…」
俺とシルナも、まず第一にそれを考えた。
そして、そうだったら最悪だと思った。
あの忌々しい鬼頭夜陰(きとう よるかげ)が、しつこい油汚れのような執念で、二人に手を出そうとしている…。
もしそうなのだとしたら、俺達は今すぐ、二人の後を追わなければならない。
でも…。
「そんなに心配しなくても、大丈夫だと思いますけどねぇ」
と、ナジュが言った。
「そんな、楽観的な…」
「だって、本人達も言ってたじゃないですか。当分の間は、『アメノミコト』は手出ししてこないだろうって」
「それは…そうだけど…。でも、それはあくまで『そうかもしれない』であって、絶対とは言い切れないし…」
天音の言うことは、もっともだ。
しばらくは『アメノミコト』も大人しいだろう、と俺達に思わせておいて。
やっぱり追撃します、と方向転換しかねない。
何考えてるか分からないが、ろくなことしか考えてないのは確かだからな。『アメノミコト』は。
もしかしたら、また二人にしか分からない方法で接触を図り。
生徒の身柄を人質に、何処かに二人を呼び出して…ということも有り得る。
何かあっても、隠すのが上手いからな。二人共。
平気な振りしながら、また俺達に何の相談もせず、自分達で解決しようと突っ走っている可能性はある。
あの、馬鹿共…。