神殺しのクロノスタシスⅣ
俺達が呆気に取られていると。

令月は表情一つ変えず、窓枠に掴まっていた。

すると、今度は。

鉤爪も何も使わず、恐らく透明な糸で吊ったのだろう。

すぐりが、同じく黒装束姿で、ひょいっと窓に登り。

無数の透明で細い糸を、僅かな窓の隙間から通し。

その糸を束にして、窓の鍵に引っ掛け、ガチャッ、と鍵を開けた。

窓の鍵が開くや、令月はガラガラと窓を開け。

しゅたっ、と中に入ってきた。

その後ろから、続けてすぐりも。

そして、この場にいる大人達が全員、こちらを見ているのに気づいた令月が、一言。

「…?何見てるの?」

…見るだろ、この馬鹿共。

俺達の、さっきまでの心配を返せ。
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