ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜4
 たとえ王族であろうとも、歳を取ることは避けられない。
 だが、武に長けた者は特に、老化して力が弱くなり、今まで容易くできたことがひとつずつできなくなっていくという事実が非常に辛いのである。

 ギルバートにとって、肉を噛む力が弱くなってしまったことは人生の終わりが近づいて来た前兆で、煮込んだ肉はその象徴になっているのかもしれない。

 そんなことを考えて、エリナは悲しくなった。
 そして、ギルバート前国王だけでなく、噛む力が衰えて若い頃のように食事を楽しめない人がたくさんいることに、改めて気づいた。

『そういえば日本でも、ベビーフードやシニアフード、それに老犬や老猫用のフードまでが売られていたっけ。人も動物も、歳を取ってからの食事はとても大切なんだよね。優しくしてくれるギルおじいちゃんのためにも、青弓亭の料理を楽しみにしてくれる犬のおばあちゃんのためにも、わたしはもっといろいろなことを考えて料理を作っていきたい。料理は身体の栄養をとるためのものじゃなくて、心の栄養でもあるんだから』

 スカイヴェン国に転移して幼い子猫となったエリナを育み、優しさで包んでくれるこの国の人々に、エリナはとても強い愛情を抱いていた。
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