ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜4
 というわけで、味見隊長であるルディが店内に立って目を光らせ(これは青弓亭ではおなじみの光景なので、お客たちも慣れている。初めての客が王都警備隊長が青弓亭警備隊長を務める姿を見て、ぎょっとする様を見るのも常連たちの楽しみである)マイクは厨房に入ってカウンターへの料理出しをし、あとの4人は交代しながら店の外の見張りとなった。

 たいそう厳重な警備だが、青弓亭は王家から賜った紋章持ちの店なので、まあ仕方がない。

「うわあ、この定食は美味しいな!」

 一番にありついた雑貨屋の青年が、ニンニクの匂いが食欲をそそる塩ニンニク天津チャーハンを口にして叫んだ。
 そして、ひと言叫んだ後は、黙々と皿に向かって平らげていく。こんもりと山のように盛られたチャーハンは、あっという間に青年のお腹に消えた。

 他の客たちの口にもあったようで、皆嬉しそうにスプーンを口に運んでいる。

「おばあちゃん、すごく美味しいね」

「そうだねえ、とっても美味しいねえ」

 食べやすく調理された豚肉は、犬の老婦人の歯でも容易く噛むことができる。口に広がる肉の旨みに「こんなに美味しいお肉が食べられるなんて幸せだねえ、まだまだ長生きできそうだわ」とほっぺたを押さえて嬉しそうに笑った。

「そうよ、長生きして、わたしと一緒にたくさん青弓亭に来ようよ」

「ええ、ええ、たくさん来ましょうねえ」

 仲良く食べている犬の老婦人と孫を、厨房からそっと見ていたエリナは、「よかった、笑顔で食べてくれているよ」と満足のため息をついたのであった。
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