ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります！〜４

「この肉はなんともいえない美味しさじゃな。噛みごたえがあるが固くなく、肉を食べているという満足感が感じられるぞ」

　よく煮込まれてほろほろっとなったテール肉は料理人の手によって骨から外されて、カレーの皿の中で存在感を放っている。牛の旨味が詰め込まれた部位のこの肉は、そのままだと固くて筋ばっているのだが、きちんと処理をして煮込むことで柔らかくなる。隠されていた肉の味がじゅわっと滲み出す、大変美味しい食材へと変化するのだ。

　エリナは日本で江理奈として暮らしていた時に、図書館で見つけた本格的な料理本（プロが読むような本が、たまに紛れ込んでいるのも図書館の楽しさだ）に載っていた牛テールの調理法を何度も読んで『これはどんな味なんだろう、どれほど美味しいお肉なんだろう』と想像を膨らませていたので、テールの良さを引き出す調理法がしっかりと頭に入っていた。

「よかった！　この牛の尻尾、牛テールを使ったカレーライスには、お肉の旨味がぎゅっとつまっているから、ギルおじいちゃんのお口に合うと思ったんです」

　嬉しそうな子猫が白い耳をぴこぴこ動かしながら言うと、その場にいる者たちは『かっ、可愛い！　おじいちゃんのためにお料理する優しい子猫、最高に可愛い！』と胸を熱くした。

「うんうん、合うとも、合うとも。ありがとうな、エリナ」

　ギルバートはにこにこ顔をしながら、自分は料理に手をつけないで、『大好きなギルおじいちゃん』がカレーライスを食べる様子を見守っていたエリナの頭を撫でた。