浅葱の姫。
私は目を瞑る。

叩かれるとわかっているから。

━━━パシン━━━

痛くはなかった。

目の前には沖田様が立ってらした。

私の代わりに叩かれたのだ。

「沖田様っ!?」

「·····沖田くん。

なぜ君が庇う必要がある?」

沖田様は微笑んでいた。

それが作り笑いと私は気がついた。

「伊東さんともあろう方が

女中なんぞに手を挙げるなんて

気が引けます。」
< 113 / 310 >

この作品をシェア

pagetop