浅葱の姫。

記憶にあるのは名前の由来と

お父様は素敵な方だと

教えられた記憶だけ。

だからお父様から見た

お母様がどんな人だったのか

気になった。

｢綺麗な人だった·····。｣

お父様は呟くように言った。

｢綺麗で·····綺麗すぎたんだ。

あの人は大奥で目立ち過ぎた。

入ってきた時に既に噂になってね。

私が好きになったのは

入ってきたその日。

初めて会った日だ。｣