浅葱の姫。
お父様は私の

目を見て話してくださった。

「あの日は雨だった。

薄暗い夜、

私は今日初めてやって来た

側室に会いに行った。

それが君の母だ。

あの人は側室だと言うのに

笑わなかった。

本来、側室ならば

にこやかにして

癒しを与えるものだろう?

私は少し不思議に思ったんだ。

だがそんなことよりも

彼女は綺麗だった。

私が見てきた人の中で

1番の美人だった。」
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