浅葱の姫。
そういえば殿方の

お名前を聞き忘れた。

「土方さーん。」

殿方は誰かのお名前を呼んだ。

「土方さん?

いないんですかねぇ。」

しばらくお部屋の襖を

見つめたあと

殿方は私を見た。

「開けちゃいましょう。」

笑顔でそう言った。

「ふふっ。寝てらっしゃる。」

先程の風格とは違い

子供のような顔で仰った。
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