陰謀のための結婚

 寝る前に智史さんにメールを送ろうとして、何度も迷って、やはり送ろうと決意して送信ボタンを押す。

《母が智史さんを随分気に入ったみたいです。主に外見を》

 少しすると返事があった。

《隠し切れない俺の内面の魅力が滲み出た結果》

 すごい文面に吹き出してしまった。どんな顔をして書いているのかと想像すると、おかしくて仕方がない。

 すぐに電話がかかってきて、笑いながら通話を押す。

「なにを笑っているのかな?」

「だって、すごい自信」

「わざと角のある書き方するからだろ」

 クスクス笑っていると、電話の向こうから穏やかな声。

「好きだなあ」

「どんな、脈絡」

「今からでも(さら)いに行きたいよ」

「会いたい、ですね」

「なに? 急に素直だね」

 彼の声色に甘さが加わったのがわかって、胸がキュンとする。 
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