陰謀のための結婚

 ふとした瞬間に城崎智史の顔が浮かんで、ぼんやりしてしまう。美しい顔立ちが近づいてくるところまで思い出しそうになって、首を振って妄想を取り消すまでを何度も繰り返している。

 しかも妄想というよりも、現実に起きた内容だからタチが悪い。

「男関係ですか?」

 鋭い玲奈の指摘に一瞬ギクリとする。

「そんなわけないじゃない」

「目が泳いでます! どんな男性に会ったんですか?」

 鼻の利く玲奈に隠し事はできない。お客様に手土産をもらったときも、言う前にバレているし、通勤中に男性に声をかけられた時は、高確率で当てられる。監視カメラでも付けてるんじゃないかと、本気で疑いたくなるくらい。
< 18 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop