陰謀のための結婚

「本当。どうかしてたみたい。あまりにも美しい人に言われたから」

 つい本音をこぼしたところを、玲奈は見逃さなかった。

「美しいんですか⁉︎ それはイケメンを超越してるじゃないですか!」

 的確なアドバイスをしていたのに、見目麗しいと知るや否や再び興奮し始めた。玲奈はどうもかなりの面食いみたいだ。

「もう。玲奈がたった今、私の目を覚まさせてくれたんじゃない。そういう男性だもの。軽い口説き文句もお手のものよ」

 浮ついて、なにを勘違いしていたんだろう。彼ほどの人が政略結婚をする必要があるわけがない。

 トップになるために結婚と子どもが必要だとしても、候補は持て余すほどいるに決まっている。
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