陰謀のための結婚
智史side
「智史さん。朝からため息五回目ですよ?」
直輝に言われ、苦笑する。
城崎リゾートの広報課に在籍している俺は、新設予定のホテルについてのプレゼン資料をまとめている真っ只中。
資料室に、後輩の直輝と共に調べ物をしに来ていた。
今はまだ期限までに余裕があるせいもあり、つい昨日の失態を悔やんではため息を吐いた。
「連絡先を聞き忘れた。今からでも入手する方法はあるが、自分で聞かなければ意味がない」
改めて口に出すと、自分の無能ぶりが嫌になる。こんなことは初めてだ。