陰謀のための結婚

 側に控えていた看護師が、私と母の意見を尊重して提案をする。

「検査されてみたらいかがですか? 新しくお仕事されるのなら、腰の状態がどうなのか知ってからの方がお勤めしやすいでしょうし、娘さんも医師のOKが出れば安心でしょうから」

 私と母は顔を見合わせて、ゆっくりと頷いた。

「検査、是非お願いできますでしょうか」

 母がしっかりとした口調でそう言うと、晴れやかな顔をした。

 検査入院の手続きも済ませてから、帰路に着く。病院の外に出ると、ジメッとした暑さが体にまとわりついた。それでも心は軽やかだった。

 お金の心配は相変わらずしなければならないけれど、母が前向きになって明るい顔をしている姿を見られたのはうれしかった。
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