陰謀のための結婚

 次の日、目が覚めると、携帯には知らない番号からメールから入っていた。

《急で申し訳ないが、土曜の午後から月曜にかけて、旅行に付き合ってほしい。きみのお父さんには了承を取ってある》

 あまりにもタイミングが良過ぎる。三矢が裏でなにか手を回したかもしれない。

 母は三矢と連絡を取り合う間柄ではない。母の入院に加え、母が喜んでいた仕事も、母の知らないところで三矢の手配したものなのか。

 真実を知ったときの母を思うと胸が痛い。

 ぽっかりと空いた土曜の今日から、祝日の明後日まで。母が検査入院であれば、母に気づかれずに旅行に行けてしまう。

 三矢からお金は振り込まれたらしい。私は覚悟を決めて、メールに返信をした。
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