陰謀のための結婚
「香澄ちゃんって、話した方がずっとかわいいよね。よく言われない?」
唐突に褒められて、目を泳がせる。
「智史さんは、人たらしだって言われませんか?」
「女たらしじゃなくて?」
「そっちでもいいですけど」
そうだよ。道行く人に振り返られるくらいだ。彼が女性をはべらせていても、驚かない。それどころか、その構図がとても似合う。きっと彼は大勢の中なら選ぶ側だ。
勝手な想像なのに、胸の奥がチクリと痛んだ。