陰謀のための結婚

 近い距離で手を繋ぎ、それにキスもした。そんな状況で最初こそ、ぎこちなく歩いていたが、楽しげな街並みと、おいしそうな食べ物を見て自然と会話も弾んだ。

 街を巡り、但馬牛まんにチーズタルト、松葉ガニクリームコロッケなどなど、食べ歩きを堪能しながら、風情ある街並みを歩く。

「あ! 温泉卵を自分で作れるんですって」

 看板を見つけ、思わず声を上げる。智史さんを見上げると、優しい微笑みを浮かべて私を見つめていた。

「すみません。はしゃぎ過ぎですよね」

 自分でも、今日のテンションはどうかと思う。

 楽しいのはもちろんだけれど、智史さんの隣にいるとどうしていればいいのかわからなくなって、謎のテンションになっている。
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