陰謀のための結婚
「本音が聞けるかと期待して」
「わ、私、なにか言いました?」
記憶を辿っていると、彼の言葉で鮮明に蘇る。
「俺のうなじを見て、色っぽいなんて言うから、あと少しで振り返りそうになった」
頬が熱くなり、顔を隠して抗議する。
「あ、あれは、だって、気が抜けて」
「あのまま襲って来られたら、甘んじて受け入れただろうけど、幻滅はしたかもね」
「それは、たまたまそうであっただけで」
「うん。本当は、きみになにをされても嫌いになれる自信がないよ」
苦笑する彼は、意地悪な発言をする。
「俺がどんな奴かまだわからないうちから、俺に体を許すつもりだった?」
「それは、その」