陰謀のための結婚
「奥住さんはお客様で来ていらして、その頃から顔馴染みではあったのよ。お店を辞めて心配してくれて」
付け爪用のネイルチップなら、体調がいいときに作っておけるため、それを作っていたと知り驚く。
そのチップを購入したいと奥住さんから連絡があり、今後の仕事について話が発展したという。
前からの知り合いだったのなら、三矢とは関係ないかもしれない。深読みをし過ぎたのかな。
三矢と関係がないのなら、その方がいいに決まっている。
母はうれしそうに続ける。
「ジェルネイルに似たレジンという素材でアクセサリーを作ってみないって、お話をいただいて。アクセサリーは、幅広い方にお求めいただけるでしょう?」
すっかり仕事の顔つきになる母を頼もしく思う。
「また張り切って、倒れたりしないでね」
「フフ。どっちがお母さんか、わからないわね」
「もう」
元気な母を見て安堵する。