腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
「満足……って」
―――僕、一回じゃ、全然満たされてないんだ。
(まさか、そういう意味じゃないですよね⁉)
泣きそうになった私に先生が心底申し訳なさそうに口を開く。
「もう一人の僕が満足して出なくなるように助けてほしいんだ」
「……え、いや……それは」
「だめ、かな?」
「それって、やっぱり、夜の、その……昨日の夜みたいなことも含まれます?」
「あー……」
先生は考え、「ごめん。そうだよね。それは嫌だよね……」と頭を下げた。
その姿を見て、なんだか罪悪感に苛まれる。
それに、どうしても困れば先生は他の女性を頼るかもしれない。ふとそんな考えが浮かんでしまった。
思わず先生の腕を掴む。
「で、でも他の女性と先生がそういうことするのはもっと嫌なんですぅぅううう!」
そう叫んで頭を抱える。
私は我儘だろうか。先生のこと追い詰めてるだけだろうか。
うんうん悩んでいると、先生は困ったように笑った。
「大丈夫、他の女性とはどうこうならないよ。僕には……僕だから、わかるんだ。僕は、ももじゃないとダメなんだろうって」
その真摯な言葉に、胸がキュンと音を立てる。