腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「っていうか、もしそうなら、もう満足して出てこないかもしれないですよね⁉ き、昨日っていうか、今朝まであんなに色々されたわけだし……!」

 私が泣きそうになりながらまだ掠れている声で言うと、先生は顎に手を当て考える。

「あー……それも、そうかもね」
「絶対そうですよ! だ、だからもう解決です!」

(むしろそうであってください! あれ以上は、いや、あれと同じことももう無理だ)

「……うん、そうだね。そんな気がしてきた」
「そうです! そうです! そういうことで、私はシャワーを浴びて着替えてきます!」

 ぶんぶんと頭を縦に振りながら、私は慌ててベッドから抜け出す。
 そしてバスルームに走って入ると、鍵をかけて熱いシャワーを頭からかぶった。

(あれ、これ、美奈さんから聞いてた、『初めて一夜を過ごした後の幸せな朝』の心境と全然違うんですけどーーー!)

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