腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
泣きたくないのに泣いてしまう。
先生は、ご機嫌に微笑むと、私の涙を指で拭ってその指を妖艶に舐めとる。
「ん、おいしいね」
なにがおいしいのだ、とまた泣いた私の身体にどんどんキスを落とし始めた。
(やだっ……やだけど……)
じわじわとお腹の底から、恐怖だけではない感情が沸き起こってくる。
少し乱暴な動作に、冷たい指先にまで、昨日色々と教え込まれた身体が勝手に反応を始める。
それがやけに恥ずかしくって、私はなんとか話を始めた。
無理矢理、思考をいつもの先生のことに持って行って……。
考えてみれば、夜の先生ときちんと話ができるのは私だけかもしれないし。