腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「ひゃっ! あっ、ほ、本当に! あ、あなたは、んっ、先生の本音を、んんっ! 言ってるんですかっ?」

 身体の刺激に邪魔されながら私がなんとか言うと、先生はふと手を止める。

「え?」
「だって、こんなのが先生の本音だなんて信じられないんですもん!」

 それを聞いて先生は少し考えてふっと微笑んだ。

「もちろん、これが本音だよ」

 そう言って、先生は続ける。「あいつは、本音を隠しすぎていつの間にかなにが本音なのかも分からなくなったみたいだけどね。でも、結婚して少しずつ変わってきてた」

(どういうことだろう……)

 そう思ったけど、一つ分かったのは、今の先生がいつもの先生のことをよく知っている口ぶりだということ。

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