腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 その時、地域医療連携室の扉が叩かれる。
 誰だろうと顔をあげると、リク先生が入ってきた。

「あら。李久先生、おはようございます」
「っ……!」

 驚いて思わず先生から顔を反らせる。
 リク先生の表情を見るのがなんだか怖かった。

 先生はポスターを一枚私に渡すと、

「これ、来週僕の出身大学主催で開催される講演会なんだけど、まだ少し空きがあるらしくて何枚か渡されたんだ。ここの前の掲示板に案内貼っておいてくれるかな? 一般の方も参加できるから」

と言う。

「はい」

 私が下を向いたまま頷くと、先生は、よろしくね、と言って私の頭を優しく撫でてから、部屋を出て行った。
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