腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
8章:夜のデート

 自分の唇をゆっくり離す。
 それでも、なんだかもう一度キスしたくなって、リク先生の首筋に腕を回してその温かな唇に自分のそれを重ねた。

(恥ずかしいけど、こうしたかった)

 それから夜の先生がしたみたいにはできないけど、長いキスをする。すると、先生は突然私の肩をもって私を先生から離した。

「ももっ!」
「ふぇ……?」
「だめだよ、もも」

 先生は静かに告げると首を振る。
 だめってどういうこと?

「……だ、だめ? こういうことが?」
「うん」
「なんで……?」

(夫婦なのに、なんでだめなの)
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