腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「先生、なんで笑うんですかっ」
「いやー……僕だって、ももはもっと大人しいと思ってたから面白いなって思って。それにセックスの時だって、朦朧としながら体位の名前言ってなかった? 童顔でなにも知らなさそうだし、経験ないはずなのに、あれには驚いた」
「あ、あれはっ……!」

 そんなことをこんなところで言われると恥ずかしくなって顔が赤くなる。

「先生のために、美奈さんに聞いて全部覚えたんですよぉ……! 単語帳とか使って! でも、あれを一晩で全部するとは思ってなかった!」

 自分でもこんなことで先生に文句を言う日が来るとは思ってなかった。
 と加えると、先生はブハッと吹き出す。

「もも、面白すぎる……! エロいことに興味もちすぎ! 思春期男子か」
「興味持ちすぎって……! 先生程ではありませんけど!」

(だってそうでしょう⁉)

 私が言い返すと、先生はまたゲラゲラ笑う。
 いつも優しく微笑むリク先生だけど……今は全然違って、心底楽しそうに笑ってる。
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