腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
でもね、なんとなくわかったんだ。
先生にもいつも言われてるから。
―――もも、かわいい。
聞こえないはずのそのリクさんの声がやけに体に染み入ってくる。
リク先生になら、ありがとうございます、って普通に返せるのに……リクさんに言われるとなんだかすごく恥ずかしくなって、私はきゅっと目を瞑る。
そうすると、やけに胸がドキドキとうるさく感じてしまう。絶対顔も赤い。
少し前まで、リクさんのこと苦手だったのに。
工藤先生に言われて、知りたいって思っただけのはずだ。
なのに。知りたい以上の感情がふつふつと沸きおこってくる。
そっと目を開けると、リクさんの目に捉えられた。
その力強い目線から、自分の目がそらせなくなる。そらしたくないと、思う。
次の瞬間、当たり前みたいに、二人の唇が重なった。