腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 ガクっとうなだれた私を、リク先生は心配そうに見つめる。

「どうしたの? 大丈夫?」
「いや……はい……大丈夫です」

 こんな話、間違ってもリク先生にはできない。
 下手したら破廉恥だと私が軽蔑される。

(っていうか、外に私とリクさんがいたのにも我妻先生に気づかれてたってことか……!)

 あの時の状況を思い出して、思わず赤面する。
 変なこと、言ったような……。いや、でも、変なことしてたのは我妻先生の方だし!

「もも? 本当に大丈夫? 一人百面相してるよ」
「わ、あ、あの、すみません!」
「謝らないで。ももは、なにしてもかわいいし、見てるの楽しい」
「ありがとうございます」

 私は脳内フル回転で昨日の夜のことを思い出していた。でも慌てていたのもあって記憶は曖昧だ。
 今夜、リクさんに会ったら聞いてみよう。きっとリクさんなら覚えているだろう。

 今夜……。
 そっか。リクさんと会うんだ……。

 そう思うと、また顔が熱くなる。
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