腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
11章:これが浮気というやつですか?

―――そもそも浮気してる気分って、『誰』が浮気相手なの……?

 その日は、少し仕事で遅くなったので、帰り際に脳外の方を通ったけど、リク先生の顔も見られなかった。
 私を見つけた看護師さんが、急なオペが長引いているみたいだと教えてくれた。

 夜はどうだろう。
 リクさんが、今日は帰るって言ってたけど……。

 私はそう思って、夜マンションに戻って食事を作っている間もやけにそわそわしていた。
 
 でも、12時を過ぎても、1時を過ぎても、リクさんは帰ってこない。
 待ってる間、リクさんとの水族館でのことや、病院の夜のことをやけに思い出しては緊張していた。

 でも、とうとう朝の5時になって、私はふぅ、と緊張していた息を吐きだした。

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