腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
私は慌てて誤魔化すように付け足す。
「だ、だって、夜のリクさんは、リク先生の本音でしょ? 傷つけられることはないです。同じ先生だし……。先生も、帰れそうな日は、うちに帰ってゆっくり休んでくれませんか? 私はリク先生の身体だって心配なんです」
少し言い訳めいた言い方になってしまったように感じた。
先生は少し私を見ていたあと、ふっと微笑む。
「うん、そうだね。なんだかももがすごく大人に見えて驚いた」
そう言って、髪を撫でられた。
私はそのいつもの仕草にほっとすると、胸を張って見せる。
「私だって、もう大人ですからねっ」
「そういえば……夜の僕のこと、『リクさん』って呼んでるの?」
急に先生の声が冷えた気がして、私は思わず先生を見上げた。