腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
こんなところでこんなこと、今までのリク先生ならありえないことだ。
でも、昨日の朝も唇に軽いキスをされたっけ。
私は思わずそれを止めようと手を伸ばしていた。
なのに先生は私が止めた手の指を絡め取って、後ろにあった壁に縫い付ける。
「ひゃっ……!」
ちょっとまって。なんかこれって……
ただの軽いキスの雰囲気じゃない!
(朝だよ! 病院だよ! まさかまさかまさか⁉)
脳内思春期男子だからそんなことばっかり考えちゃうじゃないか!
しかも、当たり前だけど、リク先生の顔はリクさんと一緒だし!
それもこれも全部全部リクさんのせいだ!
リクさんがいつも色々しようとするから!
「せんせ……!」
覚悟してぎゅっと目を瞑った。