腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

―――私は、リクさんが好きになってるんだ。リク先生を好きなのと同じように……。

 ふいにその事実に気づいてしまう。
 目の前に突き付けられるように……。

 そうすると、どんどん自分のしたことに自信がなくなってきた。
 私は浮気をしたのだろうか。

(でも、リクさんはリク先生だしぃ……!)

 きっとリクさんがリク先生の本音というわけでなければ、あんなすぐに心を許しそうになったりしなかったし、好きになることも、キスだってしなかった。

 別に先生を嫌いになったわけじゃない。
 リク先生も好き。大好きだ。

 でも、私はリクさんも好きで……。

 やっぱり浮気? 二股? えっとつまりどういうこと⁉

 混乱していると、先生は突然私の後頭部に大きな手を添えて、優しく私に口づけた。

「ん……」

(なんで、このタイミングでこんな優しいキス……)
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