腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
「ももは、どうだ? あれから。もしかして、李久先生とうまくいった?」
「えっ……! ど、どうして!」
そう言えば、先生とまだ何もできてないときに相談したんだっけ……。
絶食系じゃないかと言われてショック受けたんだ。
あの時も……
あの時まで私は、先生のこと知りたくて、先生と一つになりたくて、ずっと悶々としていた。
「もも、この前となんか雰囲気違う」
「……そう? う、うまくいったって言うか、なんていうか……うん、そうだね」
あれからいろいろあったけど……
でもあの日のことは、あの初めての夜のことは、一生忘れることはないだろう。
先生と初めて夜を過ごして、
それから、リクさんとも過ごしたあの日。
幸せだった。
リクさんとのことは、泣きたい思い出だけど……でも、好きな人に触れられて、抱き合える幸せを知った。
私の顔を見ると、斗真は笑う。
「そっか。よかったよ、順調で」
「ほんと、斗真は私のことよくわかるね」
「わかるよ、ずっと見てたんだから」
斗真はそういうと、私の髪を少し乱暴にガシガシ撫でた。
「でも、本当に何か困ったことがあれば言えよ?」
「うん、ありがとう」
私が頷いたとき、あちらから、白衣の医師が歩いてきた。
それがリク先生だと気づいて、私は息をのむ。