腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

「夜の僕は、自由で、自分の意思にまっすぐに発言も行動もできて……それでも、ももに受け入れられたから羨ましいんだ」

 そんなことを言われて、私は少し戸惑った。
 今日の朝、休憩室であんなことしたのは嫉妬だったのだろうか。

 あの時は訳が分からなくて怖かったけど……
 それを聞くと、妙に嬉しくなってくる自分がいる。

 思わず、ふふ、と笑ってしまうと、先生はそんな私を見て苦笑した。

「自分で自分に嫉妬するなんて変、ですね?」
「そうだね。自分でもそう思ってる」

 私がまだ笑っていると、先生の手が、テーブルの上にあった私の手の上に乗せられた。
 先生を見ると、先生は真摯に私の方をまっすぐ見つめていた。その瞳の深さにドキリと胸が音を立てる。

「でも、それくらいもものこと、好きなんだ。誰にも、一ミリも渡したりしたくない」

―――これ、先生の本心だ。

 直感でそう思った。ちゃんと答えないと。
 私は思わず立ち上がる。

「わ、私もっ! 私も先生が好きです。大好き!」

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