腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
そう思ったとき、先生は、ふっと息を吐くと口を開いた。
「ももは、何度もそうやってまっすぐ告白してくれたよね」
「私は先生が初恋で、ずっと先生しか好きにならなかったから。これはもうきっと一生そうだって、直感で分かったんです」
そしてそれはいまも変わってない。
やっぱり、リクさんは……。
「僕はそんなももの気持ちに応えられる人間になりたかったんだ」
先生が突然そんなことを言って、私はきょとんとする。
「何言ってるんですか。先生は、昔から十分すごい人でしたよ? これ以上はないほどに」
「知ってると思うけど、僕は本音では、そんなにできた人間ではないからね。本音をだしてたら、みんなに、なにより、ももに好きだと思ってもらえないような人間なんだよ」
「うーん……本当にそう、なんですかね」
私は顎に手を当てて考える。