腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
13章:一緒に
―――次の日の早朝。
空が明るくなったころ、リク先生は帰ってきた。
「リク先生、おかえりなさい」
私がルームウェアのまま玄関まで走ってそう言うと、靴も脱がないまま、先生は私を抱きしめた。その力強さに、目を瞑る。
「あれ、言って」
突然、耳元で低い声が聞こえる。
その声色……。
「夜の僕も、好きだって」
そう言った先生を私は見上げる。
「……リクさん?」
私が問うと、リクさんは縦に首を振る。
私は少し驚いたけど、思わず笑ってしまった。