腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 リクさんはまっすぐ私を見て続けた。

「アイツと一緒になったほうが幸せだったと思わないの」
「アイツって?」
「幼馴染の斗真くん」

「斗真? なんで……?」

 突然そんな単語が出てきて、心底意味が分からなくて私は首を傾げる。
 すると、リクさんは苦笑した。

「本当になんでって顔するね」
「いや、考えたこともなかったから」
「アイツはもものこと好きだよ」
「……私も好きですけど、でもリクさんに対する感情とは全然別です」

 きっぱりと言うと、リクさんはほっとしたように息を吐いた。

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