腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
私はリクさんの両手を握る。
リクさんの手は暖かかった。
「リクさん、先生は大丈夫です。本音を出しても、みんな、私と同じようにリク先生のこと好きになります」
それからリクさんを抱きしめる。
先ほど、リクさんがしたように、強く。
「だから、夜だけなんて言わずに、先生とずっと一緒に私のそばにいてください」
リクさんを見上げると、リクさんは私の目を見ていた。
「だめ?」
首を傾げる私を見て、リクさんは苦笑する。
それからもう一度私を抱きしめると、
「ありがとう。もも」
そう言って、リクさんが子どもみたいな笑みを浮かべる。
次の瞬間、昨日の夜そうしたように、私とリクさんの唇が重なった。