腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
14章:自分と彼と彼女のこと(side 李久)
周囲の空気を読みすぎるタイプの子どもだった自分は、いつだって『いい子』であろうと行動していた。
それでも、自分が壊れなかったのは、母には本音をぽつりぽつりと話せていたからだ。
でもある日、
『ちょっとだけ出てくるわね。心配しないで、すぐ行って帰ってくるわ』
そう言って家から徒歩数分の病院まで歩いていく途中、母は事故に遭った。